本編は、事務所において行われるVDT作業(ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT機器を使用してデータの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業)を対象として策定されたVDTガイドラインのうち、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の対象者に関連の深い項目を抜粋した抄録版である。
VDTガイドラインでは作業を6つの種類に分類して必要な対策を提示しているが、本編においては対象者の作業が「単純入力型」あるいは「拘束型」に相当するものと整理し、1日の作業時間に応じて以下のように作業区分を定義する。
| (1) | 照明及び採光 |
| イ | 室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。 |
| ロ | ディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。 |
| ハ | ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。
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| (2) | 必要に応じ、次に掲げる措置を講ずること等により、グレア(視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や見にくさのことで、光源から直接又は間接に受けるギラギラしたまぶしさなどをいう)や映り込みの防止を図ること。 |
| イ | ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整すること。 |
| ロ | 反射防止型ディスプレイを用いること。 |
| ハ | 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。 |
| ニ | その他グレアを防止するための有効な措置(反射率の低いフィルターの取り付け等)を講じること。
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| (3) | VDT機器及び周辺機器から不快な騒音が発生する場合には、騒音の低減措置(しゃ音及び吸音の機能をもつつい立てで取り囲む、機器そのものを消音ボックスに収納する、床にカーペットを敷く、低騒音型機器を使用するなどの方法)を講じること。
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| (4) | その他、換気、温度及び湿度の調整、空気調和、静電気除去、休憩等のための設備等、必要な措置等を講じること。
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| (1) | 作業時間等 |
| イ |
一日の作業時間
| (イ) |
作業区分Aの作業者については、視覚負担をはじめとする心身の負担を軽減するため、ディスプレイ画面を注視する時間やキーを操作する時間をできるだけ短くすることが望ましく、他の作業を組み込むこと又は他の作業とのローテーションを実施することなどにより、一日の連続VDT作業時間が短くなるように配慮すること。
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| (ロ) |
作業区分Bの作業者についても、同様に、VDT作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。 |
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| ロ | 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設けること。
作業休止時間は、ディスプレイ画面の注視、キー操作又は一定の姿勢を長時間持続することによって生じる眼、頸、肩、腰背部、上肢等への負担による疲労を防止することを目的として、リラックスして遠くの景色を眺めたり、眼を閉じたり、身体の各部のストレッチなどの運動を行ったり、他の業務を行ったりするための時間であり、いわゆる休憩時間ではない。 小休止とは、一連続作業時間の途中でとる1分〜2分程度の作業休止のことである。 | |
| ハ | 疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。
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| (2) |
VDT機器等 |
| イ | VDT機器を導入する際には、作業者への健康影響を考慮し、作業者が行う作業に最も適した機器を導入すること。
一般に、デスクトップ型は、一定の作業面の広さが必要であるが、キーボードが大きく、自由に移動させることができるため、作業姿勢も拘束されにくく、長時間にわたり作業を行う場合等に適している。
ノート型は、キーボードが小さく、自由に移動させることができないため、作業姿勢も拘束され易いが、作業面の広さは少なくてすむため、作業面の広さが限られている場合等に適している。 |
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| ロ | デスクトップ型機器
| (イ) | ディスプレイは、次の要件を満たすものを用いること。 |
| a | 目的とするVDT作業を負担なく遂行できる画面サイズであること。 |
| b | フリッカーは、知覚されないものであること。 |
| c |
ディスプレイ画面上の輝度又はコントラストは作業者が容易に調整できるものであることが望ましい。 |
| (ロ) | 入力機器(キーボード、マウス等) |
| a |
入力機器は、次の要件を満たすものを用いること。
| (a) |
キーボードは、ディスプレイから分離して、その位置が作業者によって調整できることが望ましい。 |
| (b) |
キーボードのキーは、文字が明瞭で読みやすく、キーの大きさ及びキーの数がキー操作に適切であること。 |
| (c) |
マウスは、使用する者の手に適した形状及び大きさで、持ちやすく操作がしやすいこと。 |
| (d) |
キーボードのキー及びマウスのボタンは、ストローク及び押下力が適当であり、操作したことを作業者が知覚し得ることが望ましい。 |
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| b | 目的とするVDT作業に適した入力機器を使用できるようにすること。 |
| c | 必要に応じ、パームレスト(リストレスト)を利用できるようにすること。 | |
| ハ | ノート型機器
| 携帯性を重視した設計(画面が小さい、キーストロークが短い、キーピッチが小さいなど)のノート型機器では、例えば小さいキーボードを手が大きい作業者が使用する場合には、連続キー入力作業で負担が大きくなることがあり、小型の画面は文字が小さく視距離が短くなりすぎる傾向がある。また、キーボードとディスプレイが一体となった構成は、作業者に特定の拘束姿勢を強いることや過度の緊張を招くことなどがあるため、使用する作業者や目的とするVDT作業に適した機器を使用させる必要がある。 |
| (イ) |
目的とするVDT作業に適したノート型機器を適した状態で使用させること。 |
| (ロ) |
ディスプレイは、上記ロの(イ)の要件に適合したものを用いること。 |
| (ハ) |
入力機器(キーボード、マウス等)は、上記ロの(ロ)の要件に適合したものを用いること。ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、小型のノート型機器で長時間のVDT作業を行う場合は、外付けキーボードを使用することが望ましい。 |
| (ニ) |
必要に応じて、マウス等を利用できるようにすることが望ましい。 |
| (ホ) |
数字を入力する作業が多い場合は、テンキー入力機器を利用できるようにすることが望ましい。 | |
| ニ |
携帯情報端末は、長時間のVDT作業に使用することはできる限り避けることが望ましい。 |
| ホ |
ソフトウェアは、次の要件を満たすものを用いることが望ましい。
| (イ) |
目的とするVDT作業の内容、作業者の技能、能力等に適合したものであること。 |
| (ロ) |
作業者の求めに応じて、適切な説明が与えられるものであること。(ヘルプ機能など) |
| (ハ) |
作業上の必要性、作業者の技能、好み等に応じてインターフェイス用のソフトウェアの設定が容易に変更できること。 |
| (ニ) |
作業者の操作の誤りにより、それまでに入力した膨大な量のデータが消失し、復元不可能な場合、作業者に大きな負担を与えることとなるので、操作ミス等によりデータ等が消去された場合に容易に復元可能なものであること。 |
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| ヘ |
椅子は、次の要件を満たすものを用いること。
| (イ) |
安定しており、かつ、容易に移動できること。 |
| (ロ) |
床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。
| 実際に座って、クッション材が2cm〜3cm圧縮された状態の座面の高さが37cm〜43cm程度の範囲で調整できることが望ましい。市販されている椅子の座面高の表示は、クッション材が圧縮されていない外形表面の高さが一般的であるので注意。椅子の調整範囲で調整できない場合は、フットレストの利用等必要に応じて対応することが望ましい。 | |
| (ハ) |
複数の作業者が交替で同一の椅子を使用する場合には、高さの調整が容易であり、調整中に座面が落下しない構造であること。 |
| (ニ) |
適当な背もたれを有していること。また、背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。 |
| (ホ) |
必要に応じて適当な長さのひじ掛けを有していること。 |
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| ト |
机又は作業台は、次の要件を満たすものを用いること。
| (イ) |
作業面は、キーボード、書類、マウスその他VDT作業に必要なものが適切に配置できる広さであること。 |
| (ロ) |
作業者の脚の周囲の空間は、VDT作業中に脚が窮屈でない大きさのものであること。 |
| (ハ) |
机又は作業台の高さについては、次によること。 |
| a |
高さの調整ができない机又は作業台の場合、床からの高さは概ね65cm〜70cm程度のものを用いることが望ましい。 |
| b |
高さの調整が可能な机又は作業台の場合、床からの高さは60cm〜72cm程度の範囲で調整できることが望ましい。
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| (3) |
自然で無理のない姿勢でVDT作業を行うため、次の事項に留意して、椅子の座面の高さ、キーボード、マウス、ディスプレイの位置等を総合的に調整すること。 |
| イ | 作業姿勢
| (イ) |
椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。また、十分な広さをもち、かつ、すべりにくい足台を必要に応じて備えること。 |
| (ロ) |
椅子と大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないこと。 |
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| ロ | ディスプレイ
| (イ) |
おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと。 |
| (ロ) |
ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい。 |
| (ハ) |
ディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大きくなく、かつ、適切な視野範囲になること。 |
| (ニ) |
ディスプレイは、作業者にとって好ましい位置、角度、明るさ等に調整すること。 |
| (ホ) |
ディスプレイに表示する文字の大きさは小さすぎないように配慮し、文字高さが概ね3 mm以上とするのが望ましい。 | |
| ハ |
マウス等のポインティングデバイスにおけるポインタの速度、カーソルの移動速度等は、作業者の技能、好み等に応じて適切な速度に調整すること。 |
| ニ |
ソフトウェアの表示容量、表示色数、文字等の大きさ及び形状、背景、文字間隔、行間隔等は、作業の内容、作業者の技能等に応じて、個別に適切なレベルに調整すること。
| 最近のVDT機器はソフトウェアによって、種々の条件の設定・調整が可能であり、ここに掲げているようなソフトウェアによる設定を徹底することによって、VDT作業の改善を図ることが可能である。例えば、多くのディスプレイは、画面サイズ等で最適な表示容量が存在するため、変更できるからといって、むやみに設定を変更すると(例えば大表示容量1600×1200画素等)文字等が読みにくくなる場合があるので注意を要する。
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